お盆(シチグヮチ)とは


お盆は、それぞれの家に先祖が戻ってきて子孫や家族と共に過ごす祖先供養の行事です。
旧暦の7月13日(お迎え / ウンケー)から7月15日(見送り / ウ―クイ)までの地域と16日までの地域があります。
盆の間は沖縄はエイサー、八重山はアンガマと呼ばれる踊りが行われ、先祖との交流を行います。綱引きや獅子舞が行われるところもあります。
お盆も先ほど紹介したシーミーも沖縄ではお正月と並ぶ盛大な行事です。
●精霊迎え(ウンケー)-
祖先をあの世からお迎えする日で、夕方に行われます。その前に仏壇に花や提灯などの飾り付けを準備します。
ウンケーのお供え物
・ウチカビ
・線香
・ろうそく
・お茶
・お酒
・提灯
・果物類・・・すいか、バナナ、リンゴ、みかんなどの果物。スイカは他の果物とは別に上から2段目の両脇に一つずつ置きます。他の果物は両脇に対称になるように盛り、上から3段目に置きます。
・グーサンウ―ジ・・・サトウキビの杖。先祖があの世に帰る時に転ばないために準備します。人の杖と同じくらいの長さにします。
・ウンケージューシー(沖縄風炊き込みご飯)
・ナマシグヮー(酢物)

●ウンケーの食事
ウンケーの夕食は、おおよそウンケージューシー(沖縄風炊き込みご飯)ときゅうりや大根のナマシグヮー(酢物)をいただき、仏壇にもお供えます。
盆の間は仏壇にも三度の食事を出します。仏壇にはあの世から祖先や亡くなった家族が来ているので、生きている人と同じように対応します。
食事をお供えする際は必ず線香を立てます。片づける時にも同様に線香を立ててから下げます。

ウンケーの手順
1.家主と家族は、門前や玄関でロウソクを灯し、家主が線香を十五本つけて、全員で外に向かって手を合わせて、お迎えします。
2.家主が自宅の「住所と姓」を言い、ご先祖に挨拶を述べて出迎えます。
3.供えている線香を持って家の中に入り、仏壇の香炉に立てます。よく、線香を玄関や門にそのまま置くことがありますが、その煙を追って不審者が入ってくることも考えられるので、線香は仏壇の香炉に立てましょう。

●中日(ナカビ)

沖縄の人はナカビにはお中元を配りに行きます。仏壇のある人は訪れる親戚に配り、仏壇のない人はお中元を配りに周ります。
親戚やお知り合いが自宅にお中元を持ってきたら、その方々にお線香を上げてもらい、冷やソーメンやお菓子を出しすのが一般的です。
冷やしソーメンは氷を使って冷やしたソーメンにつゆを付けていただきます。

ナカビのお供え物- ※家庭ごとに異なります
・朝食
・味噌汁(中身汁)
・ご飯(ウンケーの炊き込みご飯)
・酢物(きゅうりの酢物)
・昼食
・冷やしソーメン
・だんご
・夕食
・ごはん
・お吸い物
・酢物
・煮付け(豚肉や豆腐、大根、昆布などの縁起の良い食べ物)

●お中元
本土ではお中元は新暦の7月中旬に贈答され、沖縄は旧暦の7月15日の旧盆の時に贈答されます。その際に配送ではなくお中元を親戚やお知り合いに手渡しで直接渡すのが沖縄のやり方です。
作者も幼少の頃は、両親がお中元を配る際に一緒に周って、お菓子や冷やしソーメンをたくさん食べましたね。お中元を配る時しか会わない親戚の方もいるので、ひさしぶりに会うと「去年より大きくなったね」と言って喜んでくれます。
今振り返るとお中元を渡すのも良いですが、会いに行って顔を見せることが一番良いんでしょうね。ちなみにお中元には「のり」「かつおぶし」「ゼリー」「石鹸」などをよく配りましたよ。

●精霊送り(ウ―クイ)
ウ―クイはお盆の最終日で、ご先祖をあの世へ見送る日です。この日も三度の食事(ナカビと同じ食事)を供えますが、夕食は集まった親戚と一緒に食べる重箱料理からお供えしましょう。
ウ―クイが行われるのは夜遅くなので、それまでは親戚との食事や団欒を楽しみます。ちなみに、夜遅くウ―クイをする理由は、早々にご先祖をあの世へ帰すのは失礼だという思いからです。

ウ―クイの手順
1.ビンシ―とウチカビ、ウチカビを燃やす金属製のボウル、銀紙(アルミホイル)、火箸を準備します。ボウルには銀紙を敷いておきます。
2.仏壇の前に親族一同を集める
3.代表者が線香を十五本供えて、子や孫はそれぞれ三本を自分自身からという意味を込めて供えます。
4.全員で仏壇に手を合わせて、ご先祖に盆を楽しく過ごせた感謝とまた来年もお越しくださいの思いを込めた挨拶をして、ウートートー(拝む)します。
5.しばらく線香を焚きます。
6.ボウルなどの容器に主人が参加者全員のウチカビを焼きます。焼く枚数は家族の人数分と言われています。燃えているウチカビの上に仏壇に供えられていた酒とお茶を注ぎます。
7.最後に家主が「みやげもの」として仏壇に飾ってある花や香炉の燃えかけの線香をボウルに入れます。
8.これらの「みやげもの」を持って門前に移動し、「また、来年おいで下さい」と手を合わせて見送ります。みやげものは門前に置いておきます。
9.仏壇の飾り物はそのままにせず速やかに片づけます。果物や提灯も下ろします。花器には新しくチャ―ギの葉を活けましょう。
一通り、お盆の流れを紹介しましたが、どうでしたか?
作者は幼少のころ、どうしてこんなに難儀なことを大人はやるんだろうと疑問に思っていました。仏壇の前で正座をしたり、手を合わせることもよくわかりませんでした。
ただ、祖母が「沖縄の人は亡くなると神様になって自分の家族を守るから、亡くなった後も大事にしなくちゃいけないんだよ」と言った時に凄いびっくりしたことを覚えています。
その後、お盆の大切さがわかるようになったのは、20歳のころに私の祖父が亡くなってからです。
今までは祖父が家主としてお盆を進行しましたが、その祖父の名前が仏壇の位牌に刻まれたときに、初めて位牌にご先祖の名前が刻まれていることを知りました。
八名ほどの名前が刻まれている位牌を見て、私たち家系のお盆が長く続いていること、そして、それを途切れないように戦時中も肌身離さずに大事にしていたことが頭に浮かびました。
きっと、私の祖父は戦争を生き残れたのはご先祖が助けてくれたからだと信じ、位牌を大事にしていたのかなって思います。
現在、お盆は私の叔父が行っていて、これからも続いていくと思います。祖父の名前が位牌にほられてからはお盆が身近になりました。それは祖父が私たち、家族を守っているのかなって思うと安心する気持ちと、亡くなった人にも敬意を表す気持ちを大事にしないといけないと強く感じるようになったからです。
そして、琉球王朝時代から続いている祖先を大切に扱う沖縄の行事をこれからも大事にしていこうと思います。